逆流性食道炎、
バレット上皮、
食道裂孔ヘルニア

逆流性食道炎、バレット上皮

逆流性食道炎 食後に胸焼けがする、ゲップが出たり、喉に酸っぱいものや苦いものがこみ上げてくる感じがする、咳が続き眠れない……。こうした症状は胃食道逆流症(Gastro Esophageal Reflux Disease : GERD)を疑う症状です。胃酸や十二指腸液が、食道に逆流することで、食道の粘膜を刺激し粘膜にびらん・炎症を引きおこす病気です。
 食道の粘膜は長時間胃液にさらされると、胃液からの攻撃を守るために胃の粘膜に置き換わってしまいます。その範囲が少ない状態をバレット上皮、範囲が広くなった状態(具体的には長さがが3cm以上)の状態をバレット食道と言い、発がんリスクが高くなります。食道がんの多くは扁平上皮癌ですが、バレット食道からの発がんは食道腺癌という、欧米人の食道がんに多い組織タイプです。

逆流性食道炎、バレット上皮の診断方法・検査

 重症度に応じて、食道に生じる傷の程度も違うために、内視鏡的に逆流所見を確認する必要があります。内視鏡で異常がない(炎症が確認できない)が逆流性食道炎の典型的な症状があるものをNERD (non-erosive reflux disease)と呼びます。胸やけを有する例の70%はむしろこちらが多く、食道の知覚過敏やストレスなどが影響しています。

胃カメラ検査

逆流性食道炎、バレット上皮の治療

 プロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor:PPI)という内服薬が第一選択となります。
 逆流性食道炎の炎症を放置すると、胃食道接合部よりバレット食道が生じ、将来的に食道腺がんが発生しやすい粘膜変化が起こる為、定期的な内視鏡検査が重要です。

食道裂孔へルニア

 横隔膜の下部にあるべき胃の一部が食道の方(上の方)に飛び出してしまうのが食道裂孔ヘルニアです。多くの場合、逆流性食道炎を合併してますが、実際は無症状の方が多く、治療は必要ない場合がほとんどです。また治療を行う場合も、併存する逆流性食道炎に対する治療がメインになります。

食道裂孔へルニアの治療

バレット上皮の治療 薬剤としては酸の産生を抑えるプロトンポンプ阻害薬が使用されます。
生活指導も大切で、寝るときに頭の位置を高くする、肥満体型に注意、食後に横になったり運動をしたりしない、辛いものや刺激物を摂りすぎないこと等が推奨されます。
 また、傍食道型食道裂孔ヘルニアという食道のすぐそばでヘルニアができてしまうタイプのものは、症状がある場合、嵌頓予防のための手術で治すこともあります。