嘔気・嘔吐

嘔気・嘔吐

吐き気・嘔吐 嘔気は気分が悪く吐いてしまいそうな状態で、実際に吐いてしまうと嘔吐と表現されます。吐いたものをよく観察することも重要です。最後に食べたものが吐物として出る訳ですが、出血が混ざっていないか。通常は赤色ですが、時間がたって部分的に消化されていれば褐色様になります。もっと奥の十二指腸、ファーター乳頭付近からの逆流の場合は黄緑から緑になり胆汁が混ざった苦味があります。繰り返した場合、脱水や低K血症、低栄養にも注意が必要です。

嘔気・嘔吐の鑑別診断・分類

急に起こる嘔気・嘔吐

 急性胃腸炎のケースが多く、胃や腸の何らかの炎症により嘔気・嘔吐、発熱や下痢症状を来します。ウィルス性や細菌性がありますがほとんどが自然軽快し抗生剤が効くのは一部です。他の消化器疾患としては、急性虫垂炎(盲腸)、胆石発作や胆嚢炎、腸閉塞等が考えられます。また、薬剤性や脳卒中、狭心症や心筋梗塞、糖尿病性ケトアシドーシスなどでもみられることがあり注意が必要です。

吐血

 吐いたものに血液が混入した場合、いつ、どのくらいの量を吐血したか(洗面器一杯なのか、バケツ一杯なのか、それとも血が混じった程度なのか)、嘔気を繰り返した上で出血したのか、それとも最初から吐血なのか、また上述のように色によりある程度の出血部位の予測ができます。もし余裕があれば、スマホなどでお写真を持参されると参考になります。繰り返す嘔吐により、食道に大きな圧力が加わり、食道と胃の境目が縦方向に裂けて出血した状態をマロリー・ワイス症候群といいます。他、アルコール患者さんや肝硬変の方に見られる食道静脈瘤破裂、食道炎、食道がん、胃・十二指腸潰瘍、胃がんなどが考えられます。

長い経過で嘔気・嘔吐

 めまいが合併した場合は、メニエール病や良性発作性頭位めまい症などがあります。うつ病や妊娠にも注意が必要です。

嘔気・嘔吐の診断方法・検査

 採血で炎症反応や電解質異常を判断します。エコーで腸管壁の肥厚をとらえることもあり、有用です。
 吐血がみられるケースにおいては、全身状態を見た上で、内視鏡検査が組まれることもあります。クリニックで輸血の準備もままならず、緊急で内視鏡を行うことは非常に危険なことです。明らかに出血がみられているケースは入院できる医療機関と連携をとりご紹介するケースもあります。

嘔気・嘔吐の治療

 経口補水液での脱水予防が重要です。OS-1で代表される経口補水液は、スポーツドリンクであるポカリスエットなどと比べて糖分(炭水化物)が少なく、塩分(ナトリウム)が多いです。つまり、糖分が少なく味はしませんが、水分がより早く吸収できる点が有用です。嘔吐が続き脱水や電解質異常が著しい場合、通常は輸液が必要です。内服としては吐き気を抑える薬(制吐薬)を使用します。