肝硬変
慢性肝疾患のほぼすべての病態において、炎症の遷延や進行がみられると肝臓が硬くなってきて、肝硬変に状態になります。肝臓の機能が減弱し、黄疸が出現したり、解毒作用が低下した結果血中のアンモニアが上昇し昏睡状態になる肝性脳症といった合併症、肝臓に血流が流れにくくなりその血液が通常は流れない食道の付け根に回り静脈瘤といった静脈のこぶが出来ることが知られています。腹水や下腿浮腫といったむくみがみられると、塩分制限や利尿剤などでの管理が必要となります。こうした病態では、静脈瘤などの出血や、免疫能が低下し感染が起きやすい状況があります。出血や感染で、肝機能が悪化するケースが多く、致命的な肝不全に陥ることもあります。また、肝硬変になることは、肝がん発症のリスクが高まります。
肝硬変の診断方法・検査
いかに正確に肝硬変を診断するかも重要ですが、肝硬変重症度を判定するChild-Pugh分類は、一般生化学の項目にはなく、凝固系として測る必要があるPT%を含むため、クリニック診療には不向きです。だからと言って、ASTやALTが肝細胞が減っている分荒廃している結果異常値として示さないケースが多いことが問題です。
そこで、当クリニックでは、最先端機器であるFibroScanを使って測定することで、肝硬変を正確に診断したり、また肝硬変に移行しやすい状況なのかその進行具合も適切に判断することが可能です。
肝硬変まで進行した状況下では、血液凝固能が低下して、その結果脳梗塞や心筋梗塞のリスクが下がります。また血清蛋白も低下するので、タウ蛋白が原因と考えられるようなアルツハイマーといった認知症の方は少ない点も臨床上興味深い点です。
肝硬変の治療
肝臓の硬さをとるお薬は存在しません。肝臓が悪い人はただでさえ筋肉が分解されやすいのでしっかり分子鎖アミノ酸(BCAA)を補充しながら運動し、筋肉をつけることが重要です。蛋白として補充される事で、肝臓で作れない分の補充や低アルブミンによる浮腫の改善にも寄与します。当院では、BCAA製剤はもちろんのこと、ロイシンの代謝産物であるHMBを多く含むアバンド(アボット社)のサプリメントをすすめており、体制分組成計(Inbody)でモニターしながら筋肉や水分、脂肪量も含め全身管理していきます。