当クリニックを支える最新機器

最速、最新生化学採血分析機
ドライケム

ドライケム まず、当クリニックの診療の柱の一つが、このドライケムです。肝臓は沈黙の臓器であり、症状として捉えるのが難しく、腹痛や黄疸などの臨床症状が出たときには進行しているケースが少なくありません。また、慢性疾患としての要素が強く、肝機能をモニターリングしていくことが極めて大切です。
 そこで、肝機能マーカーをはじめ、血糖や脂質などの生化学検査を、採血して10分で分析できる最新機器を導入しました。大病院で置かれている機器よりも速く結果を出せ、開業時に存在する測定機器の中で最速です。ここで注意して頂きたいのは、基準値の概念です。基準値とは、その検査機器で健常者を測った場合の正常域95%区間に入った数値を上限、ないし下限値と設定しています。よって、測定機器によって基準値が違うことが多く、例えば健診データと当院のドライケムデータの生データを直接比較することは出来ません。その場合は、必ず、基準値が同じかを調べて比較する必要があり、データを比較するときは注意が必要です。また、基準値から少し高かったり低かったりすることは、あまり意味のないことであることが上記理由よりわかるかと思います。
検査の見方については、当院で測定している項目に対する説明の表を掲載しております。是非、ご覧下さい。(ようが健幸教室のページ内に掲載)
特殊項目については、従来通り院外に検査を委託し測定してますので、すぐに結果が出ないものもあります。また、検査や診療が混み合っている場合は、採血後にお待ち頂くこともあります。ご理解ご協力の程をお願いいたします。

InBody

inbody580 当クリニックでは、InBodyという体成分組成計を導入しています。体重が重いと一言でいっても、その中身である脂肪量が多いのか、それとも筋肉量が多いのかでアプローチの仕方が違います。具体的には、体重が減ったといっても、筋肉量が減ってしまっては基礎代謝が落ちてしまい、リバウンドがきやすい傾向もあり、逆に体重が増えた分が筋肉量であれば、代謝亢進に寄与するわけです。InBodyはこうした、体重の中身、筋肉量や脂肪量のつき方、さらには部位別に上半身や下半身、体幹部に分けて測定できる優れものです。変化を追ってみることで、よりご自身のモチベーションにもつながります。2024年3月に販売開始したばかりの、InBody580を設置しています。内科クリニックでこの機器を置いているのも珍しいと思います。生活習慣病や脂肪肝診療に不可欠と考えており(M.Kikuchi,脂肪肝診療における、肝線維化脂肪化測定(FibroScan)と体成分分析装置 (Inbody)の相関因子の検討,第21回日本病態栄養学会, 2018.1.12.)、当院では患者さんの健康管理を支えるサービスの一貫として、無償で測定しております。(心臓ペースメーカのような植込み型医療機器を装着の方は禁忌です)
 生体インピーダンス法とは、体に微弱な電流を流し、生体の電気インピーダンス(圧と流の比)を測定し、そこから体脂肪率を推定する方法です。しかし、生体電気インピーダンスから体脂肪率を推定するアルゴリズムは、測定機器製造各社によって異なる為、アルゴリズムや統計学を用いた計測により機種により差がありますが、このInBodyは多くの臨床試験や学会発表で使われています。
 では、測定方法は簡単で、裸足で体重計のように銀色の電極の部分に乗ってもらい、ID(当院では携帯番号)、身長と年齢性別を入力後、両手の掌でバーを握り、同じ姿勢で15秒程度待つだけです。注意点は、靴下を脱いでもらう点で、可能であればすぐ乗れるように準備して頂くか、ストッキングの場合は脱いでいただく必要があり、更衣室が必要な場合はスタッフにお声掛けください。ナースステーションに設置する為、採血の前後で測定をお願いする形になります。終わりましたら、そばのプリンターから測定したプリントが出ますので、診察時にお持ちください。また、InBodyのそばに握力計を置いておきます。筋肉の量だけでなく、筋肉の質を評価するのに手の握力が重要と考えています。
 携帯番号をIDにしているのには理由があり、InBodyアプリをダウンロードしていただくと、データを自分の携帯に飛ばし自己管理することが可能です。下記がアプリのリンク先です。是非、診察前にダウンロード頂き、2次元バーコードをInbody本体に読ませることで自動でID設定が出来、測定終了時にさらにバーコードをかざすことで測定したデータが携帯に入ります。(同じ携帯番号で入力した以前のデータも入手できます)是非ご利用ください。但し、前医(風の診療所データ)とは連携していませんので、ご了承下さい。

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InBody結果の見方

 まず、このInBody580は最新機器であり、最大の特徴は、身体を上肢、下肢の左右、体幹部に5つに分け、それぞれの筋肉量、脂肪量、水分量が算出できる点が、他の機器と違う点です。

当クリニックとして重視しているポイントを解説します。

筋肉‐脂肪(左列上段) 

 通常の体重計では一番上体重しか測定されません。重要なのは、その下です。身長と性別から求める標準体重から下に筋肉量・体脂肪量の標準値を定めており、そこからの差を見ています。筋肉が標準値におさまらず低下していませんか。また、体脂肪量が増えていませんか。いくら体重が標準におさまっていても、筋肉量が減っていて、体脂肪量が増えた状態、つまりマイナスとプラスの総和では、体組成バランスは悪いのです。

体重調節(右列上段)

 適正体重はBMIから計算した標準体重と違い、体成分を加味した適正な体重を示し、かなり厳重です。ここで、注目すべきは、3段目の脂肪調節と4段目の筋肉調節です。
体のバランスを保つには、脂肪調節マイナスは脂肪を何kg減らしましょう(逆にプラスなら増やしましょう)、同様に筋肉調節プラスは筋肉を何㎏増やしましょう(逆にマイナスなら減らしましょう)という意味です。
体脂肪量が多い方には有酸素運動(歩く、ジョギングなど)を薦めます。大事なのは、筋肉量が少ない人です。有酸素運動の推奨でいいのでしょうか?歩く、ないしジョギング(心拍数がそんなに上がらない運動)では、脂肪は燃焼できますが筋肉はつきません。無酸素運動である筋肉トレーニングが重要なのです。そこで④をみます

部位別筋肉量
(左列真ん中より少し下)

 では、どこの部位を鍛えたらよいか。特に基礎代謝にかかわる大きな筋肉であるハムストリングや体幹部、InBodyでいう体幹と右脚、左脚の筋肉量に着目し、ここが低い場合は強化することを勧めます。上肢が低い場合も、手先や腕からではなく、体幹に近い部分からトレーニングしていくように勧めます。

体水分均衡‐位相角
(左列下)

 細胞外水分比(ECW/TBW)は細胞外水分量/細胞内水分量で表されます。肝硬変に進み浮腫が出現した場合、下半身から出てくるので下肢の値から上昇します。老化や栄養不良でも細胞内水分量が低下することでECW/TBWが同じく上昇しますが、通常体全体に徐々に現れます。
 ここで注目すべきは位相角です。生命予後と疾病の重症度と相関すると考えられています。この値を部位別で測ることが、当クリニックの生活習慣病管理に重要な意味をもつと考えています。

骨格筋指数(右列の下)

 四肢の筋肉量(骨格筋のみ)を身長の2乗で割った値で、サルコペニアの診断基準で用いられている。男性<7.0㎏/㎡、女性<5.7㎏/㎡で診断。

研究項目内の基礎代謝量、
骨ミネラル量(右列の下)

 基礎代謝量は生命維持に必要な最低限のエネルギー量で、筋肉量が増えると基礎代謝量も増加します。

30代から40代

男性1500kcal、女性1200kcal

50代から60代

男性1400kcal 女性1100kcal

70代以上

男性1300kcal 女性1000Kcalを目安としてます。

骨ミネラル量は、骨密度測定のDXAと相関すると考えられており、骨粗しょう症の治療フォローにも有用です。低値の場合は、一度精密検査DXAを他院に依頼するケースもあります。
以上、簡単にご説明しました。ご不明な点はお聞きください。

自律神経機能検査

近年、自律神経異常が多くの疾患と関連していると考えられています。自律神経異常は、慢性ストレス、消化不良、睡眠障害、血圧調整、集中力や記憶力、慢性疲労などと関わっています。当院でも注目する脂肪肝の発症にも、影響があると考えています。
 当クリニックではTAS9VIEWという自律神経機能が検査出来る機器を導入しています。指から脈拍を検出し、心拍の揺らぎである心拍変動として分析して、その周波数から自律神経機能を評価します。また、指先の末梢血管の容積変化を加速度脈波(APG)で分析し末梢血管の血流循環を同時に分析出来る機器です。企業や研究機関、保険・運動関連施設にも使われ多くの論文も発表されています。私も以前の研究で、脂肪肝患者は日中、交感神経が低下している状況にあり(いわゆるモナリザ症候群)、カゴメサプリメントであるスルフォラファンの内服により、改善したことを報告しています(M.Kikuchi,非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)における自律神経機能の関与,第25回日本消化器関連学会週間JDDW, 2017.10.13.)。
以下の項目が測定できます

①自律神経分析(HRV)

  • 自律神経活動度(SDNN)
  • 肉体疲労度(PSI)
  • 自律神経バランス(LF/HF)
  • 交感・副交感神経活動度(TP,LF,HFパワー)
  • ストレス抵抗力 

②末梢血液循環分析分析(APG)

  •  末梢血管健康度
  • 血管推定年齢
  • 血管の老化速度

問題は静かな場所で測定しないと周囲からの刺激で影響を受けてしまいます。この検査も、5分前後でできる検査ですが、クリニックの混み具合によりお断りするケースもございます。ご了承ください。

動脈硬化検査

CAVI 当院では、脂肪肝患者さんの動脈硬化病変の評価を積極的に行っています。MASLDの生命予後を決定しているのは、心血管病変であるため、血管の評価は重要です。事実、FibroScanのLSM(肝硬度)が上がり始めている方には頸動脈エコーで動脈硬化がみられていることを報告しています(M.Kikuchi, 脂肪肝患者に対する頸動脈エコー検査~加齢変化からの検証, 第22回日本抗加齢医学会,2022.6.25.)。臨床的に問題となるのは、頸動脈で変化がある場合は、すでに腹腔内の大血管では動脈硬化が始まっている可能性がある点です。
 そこで当院では2つの動脈硬化病変の検査を行っています。
一つは頚部超音波による頸動脈検査です。もう一つはCAVI(心臓足首血管指数)検査です。CAVIは臥位で測定し、心臓から足首までの動脈の硬さを数値で評価します。CAVI0.9以上は動脈硬化疑いと判断され、頸動脈エコーよりも初期の段階で動脈硬化を拾い上げると考えられています。こうした検査を1-2年に1度行い、心筋梗塞と脳梗塞に至る前に手を打つことが重要です。
また、最近のトピックとしては、上記2つの検査は大血管での動脈硬化なのに対して、細小血管に対する影響です。そこで、我々は、腎臓の糸球体における毛細血管の内皮機能障害を反映するeGFR(推定糸球体ろ過量)に注目し、頸動脈での動脈硬化がみられた時点でeGFRが低下することを報告しました( M.Kikuchi, 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)診療におけるeGFR(推算糸球体濾過量)の意義, 第31回Japan Digestive Disease Week,2023.11.3.)。 つまり、脂肪肝の進展が微小血管へも影響を与えていることがわかりました。

内視鏡検査

 当院では2024年6月に発売された最新の次世代内視鏡システムである「ELUXEO 8000 SYSTEM」を導入し、熟練した専門医による高度な検査を可能にしています。LED光源搭載の内視鏡システムであり、表面変化に乏しい微細な初期病変の発見や炎症の正確な評価に大きく役立っています。

当院の内視鏡システムの特徴

Multi-LightTechnology

レーザーやLEDなどの光源を複数組み合わせ、画像処理を施すことで毛細血管分布や炎症評価などの目的に合わせた観察が瞬時に可能になります。

BLI(Blue Light Imaging)
(Blue LASER Imaging)観察

短波長狭帯域光を照射して画像処理することで、通常光では確認できない毛細血管分布や血管の表面構造などを鮮明に把握できる機能です。

LCI(Linked Color Imaging)観察

白色光と短波長狭帯域光の色拡張を細かく調整しながら組み合わせることで、正常粘膜と見分けにくい病変粘膜の範囲を明確に把握する機能です。

超音波検査

当院では、腹部超音波検査、頸動脈エコー検査、甲状腺エコー検査などを行います。
特筆すべきことは、2023年に発売された最新機器、AI(人工知能)技術を活用したノイズ除去技術「DeepInsight技術」を搭載したARIETTA 650 DeepInsight SEを導入している点です。特に肝臓の検査となると、FibroScanとの組み合わせにより、他施設に類を見ない、クリニックとしては最強の診断体制をとっていると言えます。
 肝硬度に関しては、FibroScanのLSM値(肝硬度)の測定に加えて、ARIETTA 650では、shear Wave Measurement(SWM)という、音響反射力(ARFI)による加振により、パルス長の長い超音波(pushpulse)を生体内に照射すると,組織はARFIにより後方に押され,その後元に戻り、そのとき横波(せん断波)が発生すると考えらています。その組織内を伝搬するせん断波の伝搬速度を測定することで、硬さを定量的に評価します。もう一つの方法として、プローブによる手動による加圧により生じたひずみの程度を測定する方法でReal-time Tissue Elastography(RTE)と言われています。つまり、肝臓の硬度を非侵襲的に測定できる方法を3つ持ち合わせていることになります。
 肝脂肪量については、FibroScanの精度の上がった新機能cCAP(肝脂肪量)に加えて、これもARIETTA 650に搭載したばかりの減衰量を非侵襲的に計測出来るAttenuation Measurement(iATT)を使い、2通りで脂肪量の評価が可能です。
 昔は、肝臓の組織に針を刺し(肝生検という)、顕微鏡でみていた時代。私も東京都内で最も肝生検を施行している医師でした。医学は進歩し、患者さんに負担なく検査診療が受けられる時代へ。肝臓も硬さは3通り、脂肪量が2通りが揃い、最強の診断能を持ち合わせたクリニックであり、この恩恵を被り、あなたの”沈黙の臓器・肝臓”に対して、より的確な把握に努めてまいります。

エコー

FibroScan

FibroScan(フィブロスキャン)


FibroScan

レントゲン装置

 富士フィルムCLINIX3を採用し、立位での胸部、腹部レントゲン撮影を施行しています。(将来的にDEXA(Dual Energy X -ray Absorptiometry)の導入が可能なように広めにレントゲン室を設計しています。)
 撮影後はすぐに現像確認が可能なため、即時診断できます。胸部症状や、腹部症状のある患者さんにすぐに検査できます。
 また、医療用画像管理システムを用いて、超音波画像や内視鏡画像、他院でとった画像などと一緒に一元管理します。検査の多い消化器内科や健診分野には重要なシステムであり、当クリニックは最新システムで情報管理しています。