味覚の秋
脂肪肝の方に警笛!
果糖、特に柿に注意を!
はじめに
食べ物の美味しい秋の季節に、注意すべきは果糖の取り過ぎです。特にこの時期に登場する柿と、そして、ぶどう、バナナは注意が必要です。いつも、患者さんからは、食べる前に伝えてほしかった、とご意見を頂いておりました。味覚の秋の落とし穴、脂肪肝が悪化する前に、是非参考にしてください。
単糖類であるぶどう糖、
果糖の過剰摂取に気をつけよ
まず、言葉の定義を整理しておきます。炭水化物は、栄養学では、タンパク質や脂質、ミネラル、ビタミンに分類されないものとされています。炭水化物の中に、易消化性炭水化物 人が消化収しやすく約 4kal/g のエネルギー源を産生である糖質と、難消化性炭水化物 人が消化吸収しにくい、エネルギーは 0~2cal/g と不安定。その一部が食物繊維に区別されます。糖質には、単糖類、二糖類、多糖類、糖アルコール、その他のものがあります。糖質に似た言葉に糖類があり、糖質のうちの単糖類と二糖類を総称して糖類と呼びます。単糖類には、ブドウ糖、果糖などがあります。二糖類は、単糖が二つつながったものでショ糖 砂糖 ぶどう糖+果糖 、麦芽糖 ぶどう糖+ぶどう糖 、乳糖 ぶどう糖+ガラクトース などがあります。
ぶどう糖(α-D-グルコース)は自然界に最も多く存在する糖で、ぶどうなどの果実やはちみつに多く含まれる単糖類の1つです。 また、ぶどう糖は私たちが食べたゴハンやパンからも作られます。食事として摂取した炭水化物は、体内の消化酵素によって細かく分解・消化されて最終的にぶどう糖となり、腸で吸収され様々な生理活動に利用されています。ぶどう糖の最も大切な役割は、脳を正常に働かせることです。脳はどの臓器よりも多くのエネルギーを消費しており、1日に消費するエネルギーの約20%を占めています。成人の脳は、1日におよそ120g のぶどう糖を消費するといわれています。ぶどう糖が不足すると、脳はエネルギーを作ることができず、思考能力が低下してしまいます。脳はぶどう糖のみをエネルギーにしているにも関わらず、自分で蓄えておくことができません。そのため、血液から随時補給する必要があり、結果、脳へ一定量のぶどう糖を供給するために、血液中の糖量(血糖値)は一定に保つ必要が出てくる訳です。 そこで、体の中で働く、血糖管理システムについて考えてみます。食事から摂取し、使い切れず余ったぶどう糖は、多糖類であるグリコーゲンとして肝臓や骨格筋に蓄えられます。そして、血液中の糖が少なくなると、肝臓から補充し、多すぎる場合には、また肝臓へ蓄える、という調整システムによって、血液中の量を一定に保っているのです。そのシステム維持に重要な役目を果たしているのが、インスリンです。血液中に糖が増えて血糖値が上がると、インスリンが膵臓から分泌されることで血糖値を下げます。また、グリコーゲンに変えて筋肉や肝臓に溜め込んだ後、そこでいっぱいになるとインスリンは余ったぶどう糖を中性脂肪に変えて脂肪細胞にため込むようになります。インスリンが働きすぎる状況は問題です。血糖値の上昇を緩やかにし、インスリンの過剰分泌を抑えることが重要です。血糖の急上昇、いわゆる“グルコーススパイク”が、肥満や加齢変化に影響する糖化ストレスにつながることがいわれています。
一方の果糖は、ほとんどが肝臓で代謝され、インスリンを必要としないので血糖値を上げません。肝臓に運ばれたのち、ぶどう糖に変換されて血糖となります。血糖値を上げないので、脂肪も増えないのではないかと考えられがちです。しかし それは大きな誤りで、果糖は分解されることなく、早く肝臓へ運ばれ、 中性脂肪を合成しやすいと考えられており、脂肪肝のリスクとなります。脂肪肝の食事管理には、脂質への注意以上に、単糖類である、果糖やぶどう糖に注意が必要なのです。
では、どんな果物が糖質が多いのか、表を参考までに載せておきます。下段ほど糖質が多いわけですが、バナナも食物繊維が多かったり、ブドウはポリフェノールを含んでいたり、また果物全般にいえることは、ビタミン摂取の観点からは有効です。こうした果物を全く食べるなという訳ではなく、摂りすぎないことが大切です。特に干し柿は糖質が多く注意が必要です。表には出ていませんが、ドライフルーツやはちみつ、フルーツジュースやシロップなどにも果糖が多く含まれています。お菓子やケーキ類は、二糖類であるショ糖が多く含まれており、単糖類に次いで、沢山食べないようにしましょう。
コレステロール(特にLDL-C:悪玉)高度の脂肪肝は
では、糖だけ気をつけておけば脂肪肝にならないのか。それだけではないところが、脂肪肝の難しさです。中性脂肪は高くなく、TC(総コレステロール)特に LDL (悪玉)コレステロールが高い脂肪肝の方もいらっしゃいます。油の主成分の脂肪酸について、下図を参照ください。コレステロールの上昇は、動物性脂肪である肉、バター、牛乳、つまり飽和脂肪酸の摂りすぎが問題です。植物性脂肪はどうでしょうか。まず、一価不飽和脂肪酸であるオメガ9、オリーブオイルですが、動脈硬化予防の効用があります、脂肪肝についてはまだデータが不十分です。体内で合成できないため、食べ物からの摂取を必要とする(必須脂肪酸といいます)多価不飽和脂肪酸はオメガ6とオメガ3に分けられます。オメガ6はコレステロール値を下げる働きがありますが、悪玉コレステロールだけでなく、 HDL (善玉)コレステロールも減少させてしまうため摂りすぎには注意が必要です。また、アレルギー疾患や動脈硬化を引き起こすリスクも報告されています。オメガ 3 は血中の中性脂肪を減らすほか、血栓ができるのを防いだり、生活習慣病予防の効果があります。本来オメガ 6:オメガ 3が 4:1 の比率で摂取するのが望ましいとされていますが、現代人の食生活ではそのバランスが崩れ、オメガ 6:オメガ 3が 10:1 になるといわれています。オメガ 6系を控え、オメガ 3系のエゴマ油、亜麻仁油を積極的に摂取しましょう。また、右の分類以外にトランス脂肪酸という、スナック菓子やケーキ、ジャンクフードに含まれている成分があります。こちらも脂肪肝の要因ですが、日本人ではそこまで多くは摂っていないと考えられています。思い当たる方は注意してください。
アルコールによる脂肪肝、
中性脂肪の上昇
アルコール多飲も脂質代謝に影響し、初期の肝臓変化は脂肪肝です。肝臓の脂質異常は、90 %ぐらいの比率でみられます。採血では中性脂肪の上昇がみられます。善玉コレステロールは上昇し、悪玉は低下する特徴があります。肝臓の形態変化(肝硬変など)がなく脂肪の沈着だけであれば、禁酒や節酒で改善する為、 適正飲酒量(日本酒換算1合/日)内におさめることが重要です。
意外と知られていない、
脂肪肝と自律神経異常、
睡眠障害の関係
はじめに
脂肪肝の原因は様々で、治療を考える上では多角的なアプローチが求められます。自律神経の問題はないだろうか、睡眠障害が影響しているのでは、と感じておられる方も多いと思います。普段の診療では触れない内容であり、間接的な影響はあっても直接的な影響は十分裏付け出来ていない部分もあります。もし脂肪肝の方で、同感の方がおられたら、日常生活の参考になるかと思います。
モナリザ症候群、ご存じですか
何らかの原因で自律神経の調整が効かない状態で、特に肥満者において、日中の活動性が高い時間に交感神経の働きが落ちて、カロリーが十分消費できなくなる、という報告が1990年、国際肥満学会でいわれました。Most Obesity Known Are Low In Sympathetic Activity. (大多数の肥満者は交感神経系の働きで低下している)の英文の一部をつなぎ合わせて、“モナリザ(MONALISA)”と表現されました。脂肪肝は、肥満の方が多いですが、体格が比較的保たれているいわゆる“隠れ肥満”の方もおられます。モナリザ症候群の病態は、肥満者に限らず、脂肪肝全般に当てはまります。
交感神経、副交感神経とは
自律神経には、交感神経と副交感神経があり、この2つの神経は無意識でバランスをとっています。日中は交感神経が働き、活動性高くカロリーが消費される一方で、夜間は副交感神経が働き、腸内の消化を促し、体を休めています。古代原始人が狩りの時代に、獲物を求めて、瞳孔を開き、心拍数を高めながら、飛び回り、夜は食事をしたものを吸収してゆっくりと体を休めるといった、先代の体のシステムを引き継いでいるとも考えられ、現代の生活に当てはめるとどうでしょうか。獲物を追う必要も なく食べ物は安易に手に入り、 明るい日中に敵に襲われることもなく昼寝が出来る、こうした文明の発達が 、恩恵 を授かっている反面、その代償として、 自律神経のアンバランス、 モナリザ症候群を生んでいるように感じます。
脂肪肝と自律神経障害、
スルフォラファン
そこで、私が2017 年に発表したデータをお見せします。(M.Kikuchi,非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)における自律神経機能の関与,第25回日本消化器関連学会週間JDDW, 2017.10.13.) 自律神経機能は加速度脈波という指尖から測定する方法で分析可能です。LF/HF という交感神経活動度を示すマーカーを測定した結果、日中活動期に健常者と比べて、 脂肪肝の方は有意に下がっていました。いわゆる、“モナリザ”現象です。
こうした脂肪肝の方に、ブロッコリースプラウトを投与するとどうでしょう。健常者レベルまで自律神経機能が改善し、脂肪肝も改善しました。ブロッコリースプラウトに含まれている SFN( スルフォラファン)のパワーに驚きを隠せませんでした。
スルフォラファン新効用:
睡眠改善作用
SFNを内服して自律神経機能が改善した中に 、不眠も改善した方が多くみられました。そこで、脂肪肝改善効果に続く2つ目の効用を狙うべく、睡眠 study が浮上したのです。結果、SFN を内服した方の睡眠導入時に睡眠効果があることが立証され、論文化しました(Kikuchi M, J of Functional Foods. 2021;84:1-7.)。メカニズムとしては 、夜9時頃から分泌量が増え、睡眠ホルモンとして知られているメラトニンの産生を、SFNが高める為である事がわかりました。脂肪肝も同時に改善したことから、脂肪肝改善に睡眠改善の相乗効果も寄与した可能性があります。 実臨床でも、脂肪肝の方で睡眠障害の方も多いため 、脂肪肝でSFNを内服している方にも有益なメッセージだと考えています。確かに自分もそうですが、SFN 内服すると9時頃から眠くなります。SFNを飲むと3 時間後に中途覚醒してしまう方は、 SFN 内服を朝食後から夕食後にスライドさせると中途覚醒が減る印象です。お困りの方は、ご相談ください。
脂肪肝に
睡眠時無呼吸症候群が多い
脂肪肝に睡眠時無呼吸症候群(SAS sleep apnea syndrome)が多いことはいわれています。特に肥満の方は、舌根が下がりやすく、睡眠時にいびきをかきやすくなります。夜間の間欠的な低酸素状態が 交感神経の亢進、血管への酸化ストレスや全身性炎症を引き起こし、メタボリック症候群や脂肪肝を引き起こす可能性が言われています。
当院でも、 SASの検査が可能です。是非ご相談ください。診断された場合は、在宅で睡眠中に経鼻的な持続陽圧呼吸療法(CPAP:continuous positive airway pressure)を行ったり、舌の筋肉を鍛える口腔内装具を使用したりして、夜間の低・無呼吸による低酸素血症が予防できます。特に肥満者は減量をすることで気道が広くなり、病態が改善することが知られており、食生活や運動などの生活習慣の改善を心がけることも重要です。脂肪肝はSASに限らず、睡眠障害はある方が多いです。(自験例で 58%)モナリザ症候群の病態と類似しており、 夜間において、昼間に働かなくてはいけない交感神経が逆に高ぶってしまった結果であると考えられます。
自律神経を整えるためには
自律神経を整える方法は何か、ここが一番の難題です。まずは、日中活動的に、日が落ちたら体を休めるといった非文明の時代の原始的な日常に戻す感覚が大切です。夜更かしは禁物・規則的なリズムでの生活、日中の運動や朝一杯のコーヒー、入浴後の体温低下時に床に就く、寝ながらのスマホいじりはしない、 など色々な工夫 が考えられます。冬の寒い時期は、重炭酸によるホットタブ温浴を試してみると、血流改善や美肌効果もあり、夜間の睡眠導入にも効果的ではないかと、個人的には考えています。ホットタブ温浴を試される方は、開始前後で自律神経機能を検査してみましょう。是非、一度声をかけてみて下さい。(外来混雑時は測定不可能な場合がございます。)
生活習慣病と呼吸法
はじめに
消化器の内科診療からかけ離れた内容にみえますが、私の診療の中では、以前より、呼吸の重要性をお話ししてきました。息を吸って息を吐く、生きていく上で当たり前の生理現象に、健康の秘訣が隠されています。
呼吸は、脂肪肝、生活習慣病に関わる
呼吸が浅く、短く、早ければ、思考は浅くなり、集中力も低下します。不十分な呼吸運動が、組織への酸素の供給不足につながり、日中の傾眠や意識障害につながることがあります。自律神経バランスの乱れ、血管への酸化ストレスや全身性炎症を引き起こし、インスリン抵抗性や、高血圧などの生活習慣病、さらにはその後の心血管障害などを誘発する可能性がいわれています。特に、睡眠時無呼吸症候群は脂肪肝との強い関連性があり、夜間の慢性的な低酸素状態が酸化ストレスを生み、交感神経の亢進、炎症性サイトカインであるTNF-α活性、脂質代謝に必要なLPL(リポ蛋白リパーゼ)の不活化を招き、結果、脂肪肝が誘発されると考えられています。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に上気道が狭くなり、無呼吸やいびきを引き起こす病気のことです。日本国民の数%にみられるますが、潜在性の方を含めるともっと多いと考えられています。良質な睡眠が妨げられ、日中の眠気などで事故につながりやすく大きな社会問題になっています。肥満を合併している方が多いですが、鼻中隔側彎症や、生まれつきあごの形状が小さい方、歯並びや喉頭部の変形など、原因は多岐にわたります。原因か結果かは議論はありますが、生活習慣病や脂肪肝合併例はかなり多いと考えらます。睡眠時無呼吸に関して、私が臨床的に大切している点があります。採血上で、血液中の成分の濃度、特にヘモグロビンやヘマトクリットという赤血球の成分が異常に高い場合(多血症といわれます)、この疾患を疑います。血液が増えてどろどろになることは流れが悪くなり、脳梗塞や心筋梗塞の原因になります。ではなぜ、睡眠時無呼吸で多血症になるのか。一つは、低酸素状態で腎臓からエリスロポエチンというホルモンが産生し、赤血球が増える為。もう一つは、ANPという利尿ホルモンが多く分泌し、夜間頻尿により脱水になる為だと考えられています。
治療に入る前に、まず真上を向いで寝た状態は、舌根が落ちやすくいびきに繋がることが考えられます。横向きになることが重要です。抱き枕や背中に当てクッションをしたりするのもいいかもしれません。(同じ向きで寝すぎると、肩を痛めることがあり注意が必要です)somnibelというおでこにつけるセンサーもあり、仰向けになると知らせてくれたりする機器もあります。それでも駄目な場合は、CPAPという鼻マスクを夜間装着し、呼吸をサポートしていきます。当クリニックの特徴としては、CPAPを導入した後に、どのように改善し、CPAPを外していくかも同時に考えていきます。その一つの手段として、舌をトレーニングする最新機器(snoozeal)をご紹介しています。なぜ、こうした提案をしているのかというと、SASの検査だけをして、無責任にもCPAPを導入し、漫然とゴールが見えないCPAPを続けているクリニックが多いからです。当院は、出来る限りそうした状況にならないような努力をした上で、必要な症例については患者さんと相談の上でCPAPを勧める形をとっています。
また、当院では、睡眠時無呼吸症候群の精密検査を行っています。自宅で一晩、貸し出した脳波計を付けて頂きそれを後日解析する形で診断します。是非、一度ご相談下さい。
Somnibel Sibelmed (販売元 株式会社MAGnet.)
Snoozeal Signifier Medical Technologies. (販売元 株式会社MAGnet.)
丹田を意識した
呼吸トレーニング術
理想的な呼吸とはどんなものなのか。心身が休まり、同時に活力を生み出せるような呼吸ではないかと思います。温かい温泉につかった後に、ふっと吐く息づかい。ビールを飲んだ後に出る、プハーという長い吐息。これこそが、心身共にリラックスできる理想的な呼吸法ではないでしょうか。そこで私が推奨する呼吸トレーニング術をいくつかご紹介します。
まず、呼吸を行う上で意識してほしい場所があります。“丹田”といわれ、臍の下の3横指にあります。古代中国の医学では、丹は不老不死の薬、田はこれを産する土地を意味し、ここに力を入れれば、健康と勇気を得るとされています。つまり、人間の精神と身体の中心的な場所と考えられています。臍の下に手を当てて大きく深呼吸してみて下さい。余計な力が抜け、物事に集中できるはずです。私も、大学のゴルフ部時代に、この丹田にぐっと力を入れて集中することで、大事な場面を何度も切り抜けてきた経験があります。不安や心配を抱え込んで前に踏み出すことに勇気が必要な時に、丹田を意識して深呼吸することを思い出してみて下さい。
次に、マウスピースで呼吸筋を鍛える器具をご紹介します。AIROFIT(デンマーク製)と呼ばれるもので、口に加えて、深呼吸することで呼吸筋が鍛えられます。吸う量や吐く量を調整でき、年齢や体形に合わせて自己調整できます。我が家でも、マスク生活が続く子供たちにしっかりとした呼吸法を身に付けさせるために購入しました。こうした器具でなくても、日本古来から伝わる、吹き戻しを使用してもいいかもしれません。淡路島に伝わる伝統品で、私も訪れたことがありますが、吹き戻しを自己製作できる施設(吹き戻しの里)があります。吹き戻しについて調べてみると、呼吸筋維持、さらには生活習慣病改善に至る様々なデータがあることを知り、生活習慣病治療アプローチの一環として、以前より着目していました。子供ながらの玩具ですが、是非手に取って試してみて下さい。
丹田
AIROFIR 吹き戻し
呼吸を整える、しっかりと声を出し、笑う
呼吸を整えることで、呼吸筋が鍛えられます。風呂場で、鼻歌をしたり、歌を歌ったりするのもいいでしょう。自分の声がしっかり出てるか確かめてみましょう。
また、声には、
- 大きさ
- 高さ
- 速さ
- 声の間
- 音色
といった5つの要素があると考えられています。その5つを使い分けることで表現力が増します。同時に、顔の表情筋を動かすことも大事です。顔をマッサージして、笑顔を作ってみましょう。久しぶりに出会う親友が、マスクを外した瞬間、口角が垂れて老いたな、と感じることがあります。
また、骨格筋である呼吸筋の低下は、呼吸筋サルコペニア(筋肉低下)といわれ、将来的に身体的・精神的なフレイル(虚弱)に繋がると考えられています。起こりそうな現象を事前に想定し、対策を打っておくことこそが、未病予防や健康管理の観点からは重要です。正しい呼吸の習得は、ストレスフルな現代社会を生き抜くための、ごく身近な、簡便なアプローチだと思います。是非、呼吸を意識して、健やかな日常生活を送ってください。