大腸ポリープ切除術

　ほとんどの大腸がんは大腸ポリープから発生します。大腸ポリープの段階で切除してしまえば、将来の大腸がん予防につながります。大腸カメラ検査では、発見した大腸ポリープをその場で切除する日帰り手術ができます。
　ただし、大腸ポリープでもがん化する可能性がほとんどないものもあります。大腸ポリープは腫瘍性と非腫瘍性に分けられ、がん化リスクが高いのは腫瘍性の腺腫で、大腸ポリープの大部分を占めます。なお、非腫瘍性の大腸ポリープには、過誤腫性・炎症性・過形成性ポリープなどがあり、過形成性ポリープは非腫瘍性ですが、がんに進行するリスクが高いと考えられています。

原因

  大腸ポリープができる主な原因は遺伝子異常とされています。また、高脂肪食、加工肉や赤身肉の過剰摂取、過度な飲酒、喫煙、肥満、食物繊維不足などが発症に関与すると考えられています。

症状

  大腸ポリープには基本的に痛みなどの自覚症状がありませんが、肛門に近く硬い便が通過する場所に大腸ポリープができると便が擦れて表面を傷付け、血便を生じることがあります。健康診断などで行われる便潜血検査は、大腸がんだけでなく大腸ポリープによる微量の出血がある場合にも陽性になりますので、陽性を指摘されたらできるだけ早く大腸カメラ検査を受けるようお勧めしています。
大腸ポリープが大きくなって便の通過を妨げるようになると、下腹部の張りや膨満感、繰り返す便秘や下痢、粘液の混じった便、便が細くなる、便を出しにくい、腰痛などの症状を起こすこともあります。

予防

  大腸ポリープの予防には、食物繊維が豊富で栄養バランスがとれた食事を基本に、運動を習慣化して肥満解消と適正体重維持を心掛けましょう。

通常の適切な切除では
痛みを起こしません

　大腸ポリープは神経のない粘膜にできますので、ポリープを切除しても痛みを起こすことはありません。ただし、痛みが続く場合は、微小な穿孔や周囲に炎症を起こしている可能性がありますのでできるだけ早く受診しましょう。

大腸ポリープ切除後の注意事項

　大腸ポリープの切除後、出血などの合併症が起こるリスクが高いのは1週間程度です。適切な切除を行った場合でも、腹圧をかける・血行を促進するなどによって出血を起こすリスクが高くなってしまいますので、合併症予防のために下記の注意点を守ってください。なお、内容や期間には個人差がありますので、医師の指示に従ってください。

運動・動作・行動

切除後、1週間程度、激しい運動、腹圧のかかる動作・行動は出血リスクを高めますので控えて頂きます。また、この期間は、長時間の運転、電車による長距離移動、飛行機での旅行や出張も避けてください。

入浴

切除当日は軽いシャワー程度にしていただき、熱い長風呂は必ず控えて下さい。

食事

しばらくの間は胃腸に優しい食事を心掛け、高脂肪・唐辛子などの刺激物・食物繊維を多く含むものを避けてください。

飲酒

アルコールを摂取すると血行が促進して出血しやすくなりますので、しばらく禁酒してください。