small dense LDLは脂質管理の要、中性脂肪を下げる意義について
2025.02.13
低比重リポ蛋白(low density lipoprotein ; LDL)いわゆる悪玉コレステロールの中でも、超悪玉コレステロールと言われるsmall dense LDLが脂質代謝に関わる因子の中で最も動脈硬化惹起性が高いと考えられています。今までLDL-Cの管理治療ばかりがフォーカスされてきましたが、最近、中性脂肪やsmall dense LDLの治療意義が徐々に解明されるようになりました。
small dense LDLは血管内に長く滞在し、血管への移行性が高く、酸化されやすい特徴から動脈硬化性病変を作りやすくなります。中性脂肪の高い状況では、small dense LDLが高く動脈硬化病変が進む可能性が考えられ、近年中性脂肪治療の意義が見直されました。小生の論文も、中性脂肪の高い脂肪肝に中性脂肪治療薬が有効であることを報告しており(Kikuchi M, Clinical and Experimental Hepatology. 2024;10(3): 182-187.)、脂肪肝改善もさることながら、脂肪肝の生命予後規定因子である動脈硬化予防にも中性脂肪治療薬が有効であること提唱していますが、その病態の本幹はsmall dense LDLを蓄積させない点にあります。
small dense LDLは日常の保険診療でとることは困難なため、近似式を使用して算出します。Small dense LDL=LDL-C-(1.43×LDL-C-(0.14×(Ln(TG)×LDL-C))-8.99)(Sampson M, Clin Chem. 2021;67(7):987-997.) という計算式が最近注目されており、日常使うマーカーから算出でき近似式としては有効です。