ブログ

血清コリンエステラーゼ(ChE)の意義

 栄養アセスメント研究会で肝疾患の栄養状態の評価にChEを測定することの重要性を学びました。命の懸け橋として栄養を学び直す良い機会でした。
 ChEは半減期が11日であり、半減期が14-21日と長いアルブミンと比べて、コレステロール(半減期2.5日)とともに栄養状態を示す指標になりうると考えられます。100%肝臓で合成されるために、低栄養状態、重症感染症や悪性腫瘍では低値となります。逆に、過栄養状態ではChEの合成は亢進し、脂肪肝や肥満、糖尿病などでChEは高値になります。特に、ChE活性の上昇は、肝組織の脂肪化の程度や肝での脂質代謝異常と強く相関すると考えられています。また、肝臓の合成能が低下する状況においては、ChEは低下してきます。栄養面からみた脂肪肝病態を考える上で、ChE測定の重要性を学びました。
 (補足:添付表では、同じ栄養状態を示すAlbとの違いを示しました。腎ネフローゼでは、糸球体でろ過する分子量の違いからChEが血中に残るためにChE高、Alb低となる点。さらには、ネフローゼは、血液中のアルブミンが低下する結果尿蛋白が陽性になり、脂質代謝異常のためにコリンエステラーゼが上昇するとも考えられています。また、肝疾患ではアルブミンを補充している例も多く、ChE低値の方が栄養状態の評価に有用である点が重要)
 この点を踏まえ、当院での生化学10項目セット(クリニックでは保険点数上の問題で、生化学の項目を10項目までとしています。)をALPからChEに変更しました。
又、原発性胆汁性胆管炎や胆管障害の評価の必要性からALPが必要な場合は追加項目で測定致します。
 また、この研究会を通して、数少ない採血データから病態を読み取る重要性を再認識しました。クリニックの採血データはその場でお渡ししますが、そのデータの測定意義や解釈については、診察時間内に十分な説明が出来ていないと思います。患者さんの疑問にお応えするために3-4か月に一度行う教室でも検査値の読み方について扱いますが、このHP上にも掲載して、患者さんにも理解を深めてもらうことにしました。是非、ご覧いただき、わからない部分はご質問ください。