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医の中でマングローブとして生きる~卒後25年慶應義塾大学卒業式 伊藤塾長祝辞

240326 医の中でマングローブとして生きる~卒後25年慶應義塾卒業式 伊藤塾長祝辞 2024年3月、慶應義塾大学医学部を卒業して25年が経ち、日吉記念館に招待され、現役の方々と卒業式に参加しました。当日は生憎の強風と曇り空でしたが、日吉の記念館前には若者達の喜びと熱気で溢れていました。
 幼稚舎の大先輩である塾長の伊藤公平先生から、マングローブの環境保全のお話を伺いました。マングローブは、熱帯地方の淡水と海水が混ざり合う場所、いわゆる"Buffer Zone"緩衝地帯にあり、その根元は栄養価が高く、貴重な生物の源泉になり得ます。災害時には、防潮堤の役割も果たし、自然環境では貴重な存在です。地球温暖化や環境破壊により、マングローブの森が減退し、環境を守る活動がされています。世界に目をやると、ロシアと欧米諸国の衝突を、ウクライナ地域が緩衝地帯となり、直接的な大戦争に繋がらないようにクッションの役目を果たしています。マングローブのような緩衝地帯に目を向け、その中で生活している人、苦しんでいる人に配慮することがこれからの時代に大切なことだと、塾長は卒業していく塾員にメッセージを残していました。
 医療界でも同じ事が言えます。専門性や高度化が進んで、その疾患に合致した病態の治療や研究は進んでいく一方で、横断的な症状、経過を追わないと判断が付かない病気、多職種で治療すべき疾患などは後回しになっている現状があります。専門性の中にも、全般的な視点から捉えること、脂肪肝を全身疾患として横断的に捉えることと似ています。また、当クリニックは、健診と一般診療の狭間を突き進むクリニックであり、この緩衝地帯に生き抜くマングローブに似ています。"Buffer Zone"緩衝地帯を意識して、医業の役割を果たせるクリニックを目指します。