インスリン抵抗性の指標
2025.02.26
インスリン抵抗性とは、脂肪肝や2型糖尿病の発症に関与しており、膵臓から分泌されるインスリンが、肝臓、脂肪組織、骨格筋といった末梢組織において、その機能を発揮できない状態を指します。脂肪肝では、溜まった脂肪が毒性を発揮しインスリンを効きにくくさせたり、筋肉でもインスリン抵抗性が起こり、糖尿病などの代謝異常が起こると考えられています。
インスリン抵抗性を評価するには、HOMA-Rという指標を用います。HOMA-R=「空腹血糖値(mg/dl)」×「インスリン(μU/ml)」÷405。日本人では、1.6以下が正常で、2.5以上の場合は、インスリンに対する抵抗性があると考えます。しかし、実臨床では、保険診療上、インスリンと血糖を同時に繰り返し測定することは困難で実用的ではありません。そこで、最近はTG/HDL-Cがインスリン抵抗性を示す指標として注目されています。インスリン抵抗性は肝性リパーゼ及び内皮リパーゼの活性と関連があります。インスリン抵抗性が生じると、内皮リパーゼの活性が高まり、HDL-Cが低下し、またリポ蛋白リパーゼの活性が低下するためにTGが上昇すると考えられています。また肝性リパーゼ活性も低下するためにHDL-Cが下がる傾向にあり、TG/HDL-Cの上昇がインスリン抵抗性の増大につながります。
日常で使用する採血項目を利用できるため簡便であり、当クリニックでも臨床に使用しています。