いつも心に抱いて夢の灯りをともし希望の道をすすもう
2023年度最後に日に、福島県南相馬市小高町を訪れました。目的は、長女の歌を被災地に届けるためでした。長女は、3歳から故・坂本博士先生のスクールで歌を習っていましたが、発表会の為に練習していた"いつかこの海をこえて"という曲が東日本大震災の復興曲で、練習を重ねるうちに、自分の歌を被災地に届けたいという思いが芽生え、その夢を叶える為に訪れました。震災前は15000人の人口の町が、福島第一原発から7㎞であった為退去指示が出され、現在2000人の方が住まれている小さな町です。戻ってこられた方もいれば、最近では移住者も少しずつ増えているようです。でも、まだまだで、町全体が協力しながら、自分たちの出来る事を一つ一つ積み上げ進んでいる、そんな光景でした。今回、復興に携わっておられる荒井大蔵さんのお力を頂き、"おれたちの伝承館"という施設で歌わせていただきました。ここは、絵や写真、詩などさまざまな作品を通して、震災の状況や原発事故を後世に伝えるべく立てられた建物で、関係者の大変なご尽力と日本各地からボランティアの方々のお力で昨年完成したとお聞きしました。真ん中には、手をモチーフに天を仰ぐようなモニュメントがあり、天井には希望の光と共に、被災地で起こった数々の災害や自然、動物の様子が描かれていました。その他にも、多くのアーティストがここを訪れ、作品を展示しておられ、この倉庫に伝わる風の音、そばを走る列車の音とあいまって、神秘的なパワースポットのように感じました。そんな多くの方が築き上げた復興のシンボルで、娘の思いを伝えられ、彼女が最も大事にしているフレーズ"いつも心に抱いて夢の灯りをともし希望の道をすすもう"と歌った瞬間に、涙が止まりませんでした。
その後、海辺を訪れ、先には福島第一原発が見え、周囲はぽつんと小学校がそのまま残されただけで閑散としており、ここに当時、町があり津波で流されたお話を伺い胸が熱くなりました。道路や防潮堤は整備され、工場の建設も少しずつ進んでいるようですがまだまだ復興作業や開発が必要で、一週間前の伊藤塾長の話を思い出し、緩衝地帯Buffer Zoneを意識して生きていく事がいかに大切かを痛感しました。
我が娘の思いを叶えて下さった方々に言葉では言い尽くせない感謝と、こうした方々にどんな力になれるのか、自分に問いただす良いきっかけになりました。
おれたちの伝承館支援サイトから、わずかですが、感謝の気持ちを納めさせていただきました。本当に有難うございました。また、今後とも何かの機会にお伺いしたいと思っていますし、子供も大きくなって必ず、今回の事を思い出し、伝承者として訪れる日が来るのではないかと感じています。その際は何卒宜しくお願い致します。